高尾先生インタビュー / 高円美術展(2022)

左手前が高尾先生
目次

「つなげる、つながる」高円”らしさ”

広報委員:
今回「つなげる、つながる」っていうテーマですが、これは芸術高校にうつっていくということですか。

高尾先生:
そうですね、高円高校から高円芸術高校へっていうところは大きいかなって。

今まで、長年取り組んできたこと、続けてきたことと、新しい学校でつながっていくこと、また新しくやっていくこと。
その先にもつなげていくっていうところを見据えてのイメージというか、位置づけかなっていう風に思っていて。

決して、一新するとかそういうことではなくて、今までやってきたこととかよりよい部分というか、特に美デ科でよかった部分をつなげていきたいというところですね。

広報委員:
課題とかは変わっていってる感じなんですか?専攻科も結構変わってるんですよね。

高尾先生:
専攻は、新しく増えたりとかあるんですけど、基本的な課題はあんまり変えていないと思います。はい。

広報委員:
去年も、ビジュアルデザインでラインスタンプなどは見たような気がするんですけど、映像作品とかってありました? 公立校で、映像まで行くってすごいなと思いました。

高尾先生:
初の情報デザイン科2年生が今年3年生になったので、今年は初めて(3年生として)作品を出すっていう形になったんですね。

あれはもう、課題として与えたと言うよりは、本当に生徒らが自分たちでしたいって言ったことをさせたもので、自分で何がしたいか決めるっていうのは、まずかなりの部分で。その中で自分たちは(アニメを)やってみたいっていうことをやろうと。

広報委員:
それが一番大事ですもんね。
やらされていることではなくて。

高尾先生:
基本的なそのデッサンとか、そういう技術の部分で課題としてやらなければならないというものもありますし。
自分で課題を見つけて、しっかりと責任をもってというか、自分で考えてやっていくっていうことと両立させたい部分があって。

高円高校は本来その基礎的な部分というのをしっかりまずやりましょうっていうのは、この学校の教育方針としてあるので。そこはやっぱりはずせない。だけど、一方で自分たちがやりたいこともやっていこうというところがあって。

広報委員:
素晴らしいですね。一年生から拝見していると、やっぱりデッサン力とか、細部のこだわり、作り込みみたいなのも、修行というか、研鑽を重ねられてるっていうのが伝わってきます。

高尾先生:
(実力、作り込みが)上がっていきますね。学年が上がるごとに、上がっていくと思います。

これはやっぱり本当に、練習あるのみなので、枚数を重ねないと上手くはならないし。
そういう部分では、しんどくても続けていかないと上手くはならないっていう部分があります。

広報委員:
うちの子もそうですが、途中でしんどくなることが?

高尾先生:
そうですね、だけど、そのしんどいことをしんどいながらにも乗り越えて、次にまた向かって続けていく。これが大事なことなので。

広報委員:
はい。
声かけとかで悩まれたりすることもありますか。

高尾先生:
うん、そうですね。特に…。
『嘘』は、言わない。

もちろんバランスを大事にはしています。励ますような声かけであったり、できてることはすごいいいよって言ってあげるような声かけはあったりだけど、

自信を無くすかなと嘘を言ってしまうと、後々本人たちにとって良くないので、まあ素直に。

悪いことがまだまだいっぱい見えてるとしても、一つできてること一つでも(伝えて)、もうちょっとがんばったほうがいいことは、みたいにバランスをとるようにはしてますね。

広報委員:
難しいですね。でもそれで頑張って頑張って作品を、みなさん仕上げて行かれるってことですよね。

高尾先生:
まあ周りの子を見ながら私も頑張ろうと思ったり、声かけてもらってようやくうまいこといくとか、そういう感じですね。

広報委員:
ほかの学校を訪問したときに比べて、ここ(高円)の作風の多さというか、バラエティの豊富さとかっていうのもやっぱり魅力だなと思って見てたんですけども。

高尾先生:
美術で、もしこの先やって行くとしたら、また専門的に大学や専門学校とか行くのが普通なので、そうなってきた時に、自分に何が合ってるのかっていうことは、やってみないとわからないところもあるので、できるだけいろんなことをしましょうっていうのも一つのうちの方針かな。

広報委員:
一年生の専攻を決める前に、ひととおり(の技法を)させていただけるっていうのも、やっぱりその一環ということですよね。

高尾先生:
ええ。
なんか自分がこれやりたいと思って入ってきたけど、実際やってみたらそんなに合ってなかったっていうことはよくあるので。

思いもしなかったものが意外とうまくいって、すごい楽しくなったっていうこともよくあるので、やっぱり一回体験して、自分なりに決める手立てにはしてるかなと思いますね。

広報委員:
他の先生に褒めていただいて、自信になっていったっていうのも聞いたことがありますね。

高尾先生:
そうですね。
やってみないとこればっかりはわからなくて、自分で本当にこれをやりたくてっていう。例えばまあ、情報デザインとかやったら、コンピューターで描きたいって思ってきた子でも、実際デザイン科で入ったけど、やっぱり油のほうが良かったとかいうのが、よくあることなので、選択肢も狭めたくないし、あくまでその子たちが、その先どういうふうにやって行くかっていうのを見つける学校だと思うので。

広報委員:
油絵とかでも結構今風というか、アニメっぽい作品もあったりとかして驚いたんですけども。

高尾先生:
そうですね。
結構ね、油絵もいろんな、油で描いたら油絵ってよくいうんですけど、色んな画材とか、どんなテーマでもいろんなことをやっていくのが一般的になってきてるので、その辺は自由に、多分他の先生方も指導されているかと。

広報委員:
生徒さんに求められるものとかつちかって欲しい力とというと、やっぱりさっきの両立ですか?

高尾先生:
うん、そうですよね。基本的な力、自分の自信につながるような基礎力と、自発的というか、主体的にやりたいっていう。好きだとか、やりたいとかいうことかな。

このふたつぐらいかな。
あとは結構自由に。なんでもいいよみたいなところがあるので。

広報委員:
そうなんですね。
逆に入ってこられる。これから入学される方に求められることってありますかね?一般的な感じで言うと。

高尾先生:
やっぱり自分のやりたいを、しっかり持つということかなと

誰かに言われたとか、外に理由があるわけじゃなくて、
あくまで、これをやりたいとか好きだとか、そういうことを、大切にしてたら大丈夫。

広報委員:
自分がやりたいと思って入ってきてほしいと。

高尾先生:
そうですね。それ一本だけですね。

各専攻の特徴について

広報委員:
各専攻の見どころは?

高尾先生:
6専攻あって、油と、日本画、版画、彫塑、ビジュアルデザイン、情報メディアデザインになってるんですけど。

油は、本当に絵を書くことが楽しい。好きな子にはとても合ってる専攻だなあというふうに。

日本語はやっぱり技法。
他の高校ではちょっと学ぶことができないという意味で、そういう日本画独自の技法を学べるということ。

版画も技法なんですけど、版画独自の面白さ。刷ってみたら分かる変化。

広報委員:
刷らないとわからない、みたいな?

高尾先生:
彫塑は、立体。粘土とか、素材の面白さ、それから立体物ができる時の、平面ではない、その存在感とか。

情報もビジュアルも、情報基本的にデザインなので伝えるっていうことが技法なんですけど、伝えたいことを伝えられるかどうかっていう。
それが、情報メディアの方はコンピューターICTっていう機器を使ってっていうことですかね。

広報委員:
ありがとうございます。

広報委員:
情報発信についてなんですけど。

いい機会なので、やっぱりこう外部にも打ち出していってほしいところなんですけども、基本的には、高円美術展っていうのは、在校生のものと?

高尾先生:
やっぱりそういう学校行事としての位置づけがあったので、
どちらかというと本人たち、その保護者のかたに向けて、また、次入ってくる中学生に向けてっていうところが、大きかったんです。

ただまあ、今このご時世なので、まあちょっとそういう意味での外への発進というのは大事になってきていると思うので、そういう意味でも転換期を迎えているかなっていう感じですね。

広報委員:
やっぱりこうSNSとか。でも既に発信しとかされてらっしゃる生徒さんもいると思うんですけども。 その辺は学校では難しいですよね。

高尾先生:
そうですね。なかなか個人のSNSのコントロールっていうのは難しいけれども。
基本的にSNS使うっていうのは、自分たちの良い情報を発信するためのツールとして使いましょうという。
ただやっぱり、個人の著作権とか、そういうものを侵害したりとかっていうのは当然だめだけれども、私の作品を見てくださいっていう機会としては、発信はしてもいいのかなと思いますね。

広報委員:
LINEスタンプとかは企画としてはあるけど、実際には出していない?

高尾先生:
そうですね。出してないんです。

一応企画としてはやってるんですけど、ゆくゆくはもちろん販売とかっていうことも含めてやっていけばいいと思うんですけど、細かい所で、例えば売るっていうことになると、ちょっとこう引っかかってくるのであったりっていうのはやはり出てくるんですね。

ただ、2年生なので出来るだけ自由には作らせたいと思っているので、まあとにかく作ってみて、実際、売るってなったら、こういうところがアウトに引っかかってくるよとかっていう話をしなければならないんだと思うので。全部売る体にしちゃうと、どうしても規約がすごく増えるのでというところぐらいですかね。

色々あるけど、出来上がる

広報委員:
高円美術展をひとことで総括として。

高尾先生:
よく頑張って。 本当に。

広報委員:
在校生のガイド付きで見たいっていう意見があって、美デ科だとなんとなく各専攻を知ってる、でも美デ科でも全然知らなくて、今日もぜひ子どもと一緒に来たかったんですけど。

高尾先生:
意外と、自分以外のところって知らないんですよ。

仕方がない部分ではあるけど、やっぱ自分のやっていることしか基本的には見ないのでなかなか難しい。

広報委員:
各科その科ならではの、裏の苦労とか、そういうのってこう、その中じゃないとわからない。
でもそれならではの醍醐味とかも知りたいなって言う時が。

高尾先生:
そうですよね。

広報委員:

うん、それは一年生の時の専攻科を決める時もそうなのかなって思ってたところがあって、科に入ってしまうと、分かっているようで分かってないところがどうもあるみたいって。

高尾先生:
あ、そうですね。いや、でもそんなもんなんかなと思いますけどね。美術が、そもそもそういう世界だし。

あんまり裏側は見られたくないことが多いからかな。やっぱり、すったもんだするので。やっぱり作りこむっていうのは。

広報委員:
美しいものとか、素晴らしいものの影に。

高尾先生:

そうですね。
ただ、その作品として出すときには、きっちりと出せる状態にして出す。でも、それまでのことはどっちかっていうと見られたくないっていう人の方が多いと思うんで、あくまで作品を見てほしいぐらいの感じで、みんな今まで来てたのかな。

広報委員:
全ての100%、ここここに入っているっていう感じ。

高尾先生:
(裏側の)ドラマとかは、あんまり見せたくないっていう人の方が多いんかなって感じ。見せたくない一面というか。ていうところは、もしかしたら今までのちょっと習慣とかいうのがあったりするので。

広報委員:
いえでもね、デザインやってて、なんかもうすごい状態で仕上げて、仕上がったのかすら分からない状態になってたけど。
でも何か後から見ると、なんかこう、やった!ってところがありますね。

高尾先生:
そうなんですよ。

広報委員:
そういうところは頑張ってほしいし、年下の描くのが好きなお子さんと知りあうことがあって、次どうしようかなみたいな感じで迷っておられるときに、頑張ったらこういう世界があるって知ってほしいなって。この魅力をどう広めていったらいいのかと。

高尾先生:
うん、そうですね。
でも本当に色々あるけど、出来上がるっていうところが、すごいとこやなと思います。ほんとに。

大学行ってもどこ行っても変わらないとは思います。どんなに手がなれてきて、できるようになってきても、みんなずっと変わらない。絶対にギリギリまでねばってねばって。
最後は出来上がって。

そんなクールにできる人、あんまりいないと思います。
粘って粘って最後まで。でも、それはできればクールにやったと見せたい、みたいなところがみんなあるので。

広報委員:
それ書いてもいいですか? (笑)何か美しいものの、大事なところじゃないかなって思います。

高尾先生:
そうですね、そういうものもあるんだろうなっていう、想像の中で見て頂けたらありがたいです。
きっとあるんだろうなあっていうのも、本当にそのものをしっかりと見てほしいなあっていうところです。
私たちの作品の全てなので。

広報委員:
いろいろあったことが、色彩とか形とかに落とし込まれて、すべて現れてくるっていうのはすごい分野ですね、本当に。
高尾先生、長時間ありがとうございました。

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